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サーフィン体験記:モルディブ編

プロサーファー有本 圭氏のモルディブボートトリップのリポートです。
 ホライズン2号に乗船
空港  今回もどこからともなくサーフィンバカ達が集まり、インド洋の楽園モルディブに行くことになった。モルディブは約1200もの島々から成り立っているが、そのほとんどが無人島で、人が住んでいる島は200足らずしかない。 どの島も極めて小さく、モルディブこそ正真正銘本物の島国なのだ。
 夜中、マーレ国際空港のターミナルを降りると早速そこは港になっており、乗客はもれなくドーニーと呼ばれる中型の高速船で各々目的地へ向かうことになる。ここでの主な交通手段はとにかく船なのである。 なぜか船という乗り物には特別な思いが少年時代からあり、乗るたびに心トキメイテしまうのだ。我々サーフィンバカチームは、リゾート島行きのいちゃいちゃハネムーンチームやガヤガヤおばちゃんチームを横目にドーニーで暗黒の海を突っ走り、我々の宿泊兼レストラン兼交通手段となるホライズン2号という大型クルーザーに乗り込んだ。 長旅で疲れているはずなのだが、なんとなくデッキに集合し、この新しい環境に一同興奮している様子だった。でも次第に心地よい夜風に包まれて眠りに落ちていった。


 目覚めとともに海へ
波1  翌朝、にぶいエンジン音で目を覚まし、船室からデッキに上がってみてその風景に息をのんだ。昨日は夜だったのでわからなかったが、絵葉書の中のような美しい海の風景が目の前に広がっていた。 デッキのあちらこちらから「オー」とか「んー」とか「うおー」というような言葉にならない声が聞こえた。みんな一様にその風景に心動かされたようだった。
 
 停泊していた入り江から20分ほどでサルタンという最初のポイントに到着した。そこには小さな島に向かって規則正しくブレイクするレギュラーの波が無数にあった。ラインナップには他のサーファーの姿はない。 我々は先を争うように海に飛びこんだ。これは後になって気がついたのだが、ボートからポイントのピークまでディンギーと呼ばれる小型ボートで送迎してくれるのだ。 そんなことを知らなかったサーフィンバカ達はいい波を見ると、もうとにかくなにがなんでも海に入りたい衝動を抑えきれないのだ。
 真っ先に海に飛び込んだのは鎌倉ローカルでスタイリッシュなターンが心情のユウスケだった。ずんずんパドルしている姿が見えたが、ショートボードの彼はカレントにややハマッているようだった。 なんとなく1番最初に波に乗りたくなってしまっていた俺は、ロングボードを抱えてその光景を見ながらニヤッとあやしげに笑い、ユウスケに続いて海に飛び込んだ。 この時、最も手強いライバルの西浜ライフセービングクラブで代表を務める村川 新氏は飛行機でサーフボードを壊してしまい、うらめしそうな目でこちらを眺めていた。 5分ほどパドルした時点でユウスケの背中をとらえ、ピークに1番最初に到達した。こういう時はロングボードが圧倒的に有利だ。そして晴れて今トリップのオープニングウェイブをキャッチすることに成功した。
 乗ってみると見た目の印象よりはるかにいい波で、乗っても乗ってもショルダーが張ってきて、ピークから遠くに見えていた島の浜辺まできっちり乗ることができた。 いわゆる「なんでもできちゃう波」というやつで各レベルのサーファーにもレベルアップのできるファンウェイブだ。
 ポイントは仲間で貸切り。温かく美しい海。絶景のロケーション。これ以上ないファンウェイブ。サーファーにとってこれ以上の環境はあるだろうか?
 
休憩  朝飯前の1ラウンド目から4時間近く海から上がることができなかった。腹ペコでボートに戻るとこれまた豪勢な朝食が待っており「ここはサーファーにとって間違いなく楽園だ」などと口々に言いながらむさぼるように朝食を頬張った。
 普通のサーファーなら朝食後、少し体を休めるのだろうが、我々サーフィンバカ達はサルタンポイントの反対側のグーフィーポイントのホンキースを見ているうちに我慢しきれず、今度は村川 新氏を先頭に結局気がついたら全員海に入っていた。 サルタンポイントに比べると距離は短いが(といっても150mくらいはゆうに乗れる)程よくホレて、これまたファンウェイブだ。
もしサルタンとホンキースの波が湘南にあったら大変なポイントパニックを起こし、ローカルの重鎮達がピークを占領し、そのおこぼれを取り合い、やっとの思いで乗ったと思ったらボトムにたくさん人がいて、その人たちをよけているうちに波は崩れてしまい、それを見たインサイドで待ち構えているサーファー達がまたその波を取り合い・・・みたいな現象が起こるだろう。
時間帯とポイントによってはここモルディブでも混雑することもあるが、マナーを守って挨拶と笑顔を忘れなければ、気持ち良くサーフィンができる。
 
仲間夕焼け1  ひとしきりホンキースのグーフィーを堪能し、昼食を取り軽く体を休めて夕方再びサルタンでサーフィン。朝より潮が上げてきて、更にロングライドができるスーパーファンウェイブになっていた。
サーフィンを覚えたてのころ、1日8時間海に入っていたことがあったが、その日モルディブでゆうに10時間以上サーフィンしていたことになる。
 夕方ボートに戻り、ピンク色に染まる夕日を眺めながら、よく冷えたビールをぐいぐい飲んでいると、きっと我々と同じように、どこかのいい波でサーフィンを楽しんできた白人のサーファーのボートとすれ違い、手を振り合い挨拶した。
 日が暮れて、ボートの屋上のマットの上に仰向けになり空を見上げると満天の星空に吸い込まれていきそうになった。これこそサーファーにとっての至福の一時だ。自分がサーファーであることに心から感謝した。

 サーフィン三昧
 その後、2日目に超ロンググーフィーのチキンポイント、3日目にメローなファンウェイブのニンジャポイント、4日目に高速レギュラーのコーラポイント、5日目にロングライドでチューブセクションもあるジェイルポイントでそれぞれサーフィンを楽しむことができた。
 今回入ったどこの波も、今までに味わったことのないほどのいい波だった。毎日、起きる→サーフィン→朝飯→サーフィン→昼飯→昼寝→サーフィン→ビール→夕飯→寝るというパターンで生活した。
 
 モルディブはとにかくいい波で死ぬほどサーフィンしたいというサーフィンバカにはこれ以上ない楽園だと思う。またクルーに女性がいる時やのんびり派サーファーには周辺のリゾートもかなり充実しているので、リゾートに滞在してサーフィンを楽しむことをお薦めする。ここモルディブは様々なサーファーのニーズに応えることのできる夢のサーフアイランドだ。
 我々サーフィンバカ達は帰国が近づいてくると「来年も絶対来ような」という言葉が合言葉のようになっていた。唯一村川 新氏は「いや今年でしょう」と言い張っていた。
波2 夕焼け2 全員


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